恋愛喫茶店 ~罪と一緒にスイーツを~
「あんなヤツ、よくクビにならないよね。」
「店長、男だし、カラダでも売ってるんじゃない?よく知んないけど、エロそう。」
汚くて、品のない笑い声が、こっちにまで届いてきて気分が悪くなる。
扉を開けて、目の前に出ていけば、どんな顔をするんだろうなと思ったけど、どうせ言われたことは変わらないから、やめた。
その代わりに、グーを作るように、ぎゅっと手に力を入れた。
「冷たい」だとか「人間じゃないみたい」とか、気にしてないけど、気にしてないけど…
「わたしだって、そうなりたくて、なったわけじゃない。」
小さく言いながら、ロッカーにもたれかかった。
つらい時には、すごく、すごく大切な思い出を思い出すことにしている。
それは大切でキレイなのに、思い出すと嬉しくて、悲しくなる、そんな思い出。