食人姫

「麻里絵を助けるためだろうがよ!仲間一人の命を犠牲にして、俺達は安全に生きようってか!?それが仲間なのかよ!」


なんて事のない、未来のただの質問にも、怒りをぶつけるように答えた哲也。


「私はあんたに聞いてないよ!ただ聞いただけで、何で怒鳴られなきゃならないのさ!」


気が強い未来には、哲也の理不尽な怒鳴り方が納得出来なかったみたいだ。


それは哲也も理解したようで、チッと舌打ちをして顔を背ける。


「哲也の言う通り、麻里絵を助けたかったんだ。化け物の事を知れば何とかなるかもって思ったけどどうにもならなくて、儀式の内容を知りたくて麻里絵に会いに行った。けど、何も教えてくれなかった。なあ、誰か知らないのか?どんな事をして、麻里絵は死んでしまうんだよ」


このメンバーではその答えが出ない事は分かってる。


だけどほんの少しでも何か知っていたらと。


「儀式が終われば、聞いたら教えてくれるかもしれないけど……それじゃあ遅いしね」


「そんな事になれば、このバカ共が何をしでかすか分からないよ」


光と未来も、どうすれば良いか悩んでくれているけれど、このままじゃあ、また考えるだけで時間が過ぎて行くのは目に見えていた。
< 167 / 272 >

この作品をシェア

pagetop