食人姫
「じゃあ、電気消すぞ」
由奈の返事も待たずに、ぶら下がる紐を引っ張って部屋を暗くする。
布団の中に入って、寝るまでの間、今日あった事を思い返すのが俺の日課だ。
儀式の為に街から呼び戻されて、明後日に行うはずなのに、帰って来ても準備の手伝いをするわけでもない。
だったら、別に明日でも、なんなら儀式の日の朝でも良かったんじゃないかと思える。
俺はこんな早くに、何の為に戻されたのか。
「……大輔君さ、哲ちゃんが言ってた事、本当だと思った?化け物に食われるってやつ」
そんな事を考えていると、俺に背中を向けている由奈がそう呟いた。
「まさかだろ……大人達の作り話としか思ってなかったよ」
本当に、その化け物に襲われるまでは。
あの時の恐怖が頭から離れない。
家の中にいても、暗闇が膨らんで再び襲い掛かって来るんじゃないかと不安になる。
手が、足が再び震え出して、化け物の事を考えるなと思えば思うほど、余計に考えてしまう。
「儀式ってさ……あの化け物と関係あるのかな、やっぱり……」
「どうだろうな」
由奈にはそう言ったけど、哲也が聞いたという、麻里絵が死ぬという話と化け物が結びついてしまって、口には出せなかった。
由奈の返事も待たずに、ぶら下がる紐を引っ張って部屋を暗くする。
布団の中に入って、寝るまでの間、今日あった事を思い返すのが俺の日課だ。
儀式の為に街から呼び戻されて、明後日に行うはずなのに、帰って来ても準備の手伝いをするわけでもない。
だったら、別に明日でも、なんなら儀式の日の朝でも良かったんじゃないかと思える。
俺はこんな早くに、何の為に戻されたのか。
「……大輔君さ、哲ちゃんが言ってた事、本当だと思った?化け物に食われるってやつ」
そんな事を考えていると、俺に背中を向けている由奈がそう呟いた。
「まさかだろ……大人達の作り話としか思ってなかったよ」
本当に、その化け物に襲われるまでは。
あの時の恐怖が頭から離れない。
家の中にいても、暗闇が膨らんで再び襲い掛かって来るんじゃないかと不安になる。
手が、足が再び震え出して、化け物の事を考えるなと思えば思うほど、余計に考えてしまう。
「儀式ってさ……あの化け物と関係あるのかな、やっぱり……」
「どうだろうな」
由奈にはそう言ったけど、哲也が聞いたという、麻里絵が死ぬという話と化け物が結びついてしまって、口には出せなかった。