食人姫
しばらくして、由奈の寝息が聞こえてきた。
良いよな由奈は。
自分の部屋じゃないとはいえ、自分の家である事には変わりないんだから。
寮生活を始めて、最初の頃はなかなか眠れなかった事を思い出したよ。
今は……恐怖で眠れない。
俺の後ろに隠れていた由奈とは違い、俺はあの化け物に触れられる寸前まで迫られたのだから。
闇が、絶望が、死が迫って来るかのような黒。
あの手に触れられていたらどうなっていたか。
もしかしたら今頃、化け物の腹の中だったかもしれないな。
そう考えると、この暗い部屋は怖い。
どこから何が襲って来るか分からない恐怖で、布団の中で丸くなって震える事しか出来ない。
「クソッ……早く眠れよ……」
自分にそう言い聞かせようとしても、それではますます頭が冴えるだけ。
そして恐怖は、物音やそこに置かれているだけの物でさえ恐ろしく思わせる。
「オオオオオオ……」
外で吹いている風の音が、あの化け物の声に聞こえ、部屋の隅の暗闇に化け物がいるような。
この部屋の外には、化け物が待ち構えているんじゃないかと思ったら、自然と身体を由奈の方に近付けていた。
良いよな由奈は。
自分の部屋じゃないとはいえ、自分の家である事には変わりないんだから。
寮生活を始めて、最初の頃はなかなか眠れなかった事を思い出したよ。
今は……恐怖で眠れない。
俺の後ろに隠れていた由奈とは違い、俺はあの化け物に触れられる寸前まで迫られたのだから。
闇が、絶望が、死が迫って来るかのような黒。
あの手に触れられていたらどうなっていたか。
もしかしたら今頃、化け物の腹の中だったかもしれないな。
そう考えると、この暗い部屋は怖い。
どこから何が襲って来るか分からない恐怖で、布団の中で丸くなって震える事しか出来ない。
「クソッ……早く眠れよ……」
自分にそう言い聞かせようとしても、それではますます頭が冴えるだけ。
そして恐怖は、物音やそこに置かれているだけの物でさえ恐ろしく思わせる。
「オオオオオオ……」
外で吹いている風の音が、あの化け物の声に聞こえ、部屋の隅の暗闇に化け物がいるような。
この部屋の外には、化け物が待ち構えているんじゃないかと思ったら、自然と身体を由奈の方に近付けていた。