海までの道 ~あなたと私の距離~


「急に誘ってごめんな」


『ううん。うれしいよ。航太に会えて』



航太は運転中も何か考えているようだった。


高速に入る手前の道で、赤信号になり車は停まった。


すると航太は私の手を取り、自分の腿においた。


いつもはそんなことをしない航太に驚いていると、


「そのまま俺に触れていて」


と、言った。



航太の横顔がいつもより愛おしく思え、いつもより遠いように見えた。
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