海までの道 ~あなたと私の距離~


「昨日さ、元カノに会ったんだ。前にイタリアレストランに行った時、知り合いがいるって言っただろ。あいつ、イタリアにいたんだけど休暇で日本に帰ってきたんだ」


『航太の元彼女…』


あの時の懐かしそうな、さみしそうな航太の表情が頭に浮かんだ。


あれは彼女を見つめていた眼。


握った手にギュッと力を入れた。


「あいつとは大学からの付き合いだったんだ…」


航太が静かに話し始めた。


二人にはそれぞれ夢があった。
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