【完】山崎さんちのすすむくん


「ええ、離れないし大分衰弱してるようですから。それに……」

「……それに?」

「いえ。あ! それより土方さんが帰ってきたら怒られますかね!?」

「……別に怒りはしはらへんとは思うけど」


はぁ!?、くらいは言わはるかもなぁ。


それに、の理由も気にはなったが、ぽわんと脳裏に浮かぶあのお方の様子があまりにあり得過ぎてちょっと笑える。


けどなんやかんや言うて沖田くんには甘いし、『好きにしろ。その代わりちゃんと面倒はみろよ』とかなんとか言わはるな、うん。


「ねぇねぇ山崎さん、この子の名前何が良いと思います?」


頭の中でこっそり物真似している間にも、飼うのはすっかり決定したらしい。


名前、なぁ。


「ちっこいしチビでええんちゃうん?」


なんて、その鼻筋へひょいと人差し指を伸ばす。


がぶっ


「……」

「あはは、気に入らないみたいですねー。じゃあ黒いしクロとかどーです?」


や、それチビとええ勝負やろ。


同じく安直な名に突っ込んでみるも、何故かそいつはゴロゴロと喉を鳴らして沖田くんの指に頬を滑らせていて。


くっわぁっ! 腹立つ猫やなっ!


無性に悔しさが込み上げた。


ふんっ、ええもんええもん! 窮鼠はいつか猫を噛むんやで? 覚えときやっ。





「こほっこほっ」
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