【完】山崎さんちのすすむくん
そして気が付けば年が明け。
昨年末に突然崩御された天皇の喪に服す町はとても静かな正月を迎えているというのに。
一体何を考えてか、年明け早々伊東参謀が数人の隊士を引き連れ町へ繰り出した。
しかも、四日間も島原の角屋に居座るという暴挙。
無論、無断外泊は隊規違反。
本来であれば切腹ものなのだが……。
違反を恐れ戻った連中によると、角屋に残ったのは斎藤くんと永倉くんの二人だという。
流石に幹部三人、しかも最近平隊士からの支持も厚い参謀を粛清するのは些か問題だと、結局三人には謹慎処分が言い渡された。
……、というのは表向きで。
「して、参謀は何と?」
これを好機と伊東派の動きを探らせてもらう、という副長の算段である。
最早一つの集団となった彼等は参謀一人の処分では遺恨が残る。問題事は一気に、ということだろう。
近くに誰もいないことを確認して自室謹慎となった斎藤くんの部屋に降りると、単刀直入に問う。
奥の壁に凭れ掛かるようにして座っていたその人は、俺に反応することなく、目を伏せたまま小さく呟いた。
「共に切腹しろと」
参謀が言ったにしろ斎藤くんの言葉であるにしろ、それは恐らく言葉のままの意味ではない筈だ。
故に考えられるのは一つ。
……離隊、か。