first love
「びびった〜。
アヤナ、普通にあーゆうこと言えちゃうんだねー。」


マナミはこんな時でもケラケラ笑ってる。


「翔の何がそんなにいいんだろうね、アヤナ。」

「いや、それあたしが聞きたいんだけど」



マナミはあたしをじっと見つめて問いかけた。

「店長にも反対されて、客も離れていくのに、それでも翔から離れられない理由は?」






…理由?



「理由なんて…「ないわけないじゃん」


マナミは呆れたように笑う。

「翔といたってリスクしかないじゃん。


好きなんでしょ、翔のこと。」







…好き

だなんて。


笑える。

そんな感情、知らない。





「バカ。
そんなの、くだらない」


「美華、自分で気づいてない。
だから、言うけど、
これ以上ハマらないためにももう翔はやめた方がいい。」

「マナミまで…何言ってんの。
翔といたってあたしはNo. 1だし。
他の女とは違う」

「確かに、美華はNo. 1だったよね。
だけど、先月ギリギリだったじゃん。
今月だって余裕ないじゃん。
こんなの、今までの美華じゃない!」




みんなして、
何も分かってない。




「あたしは美華がNo. 1にこだわる本当の理由わかってるから、美華が泣く姿見たくない」






No. 1にこだわる本当の理由…。



「別に、翔のためじゃない」

「お母さんでしょ?」








あたしは、大切なことを忘れてた。





「あたしだけは分かってるよ。

美華がここ歌舞伎町で本名で働く理由も、No. 1にそこまでもこだわる理由も。」





…そうだった。

お金や地位のためじゃなかった。





あたし…



「有名になってお母さんに気づいて欲しいんでしょ?」










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