first love

欲望が渦巻いてる。


ここにいると本当の目的を見失う。
自分が分からなくなる。







あたしは、涙があふれた。




「あたし…帰る……」



そう言ってあたしはドレスのまま店を飛び出した。



呼び止めるマナミや店長の声も耳に入らないほど夢中で歌舞伎町を走っていた。










…バカみたい。
バカみたい。


あたし、知らないうちにNo. 1の目的が翔になってた。



初めてこの場所にきてからずっと、
お母さんのことばっかり思ってきたくせに。

あたしを見つけて欲しくて、頑張ってたのに。







あたしの居場所は、ここしかないのに。





「…翔…」


ケータイと名刺しか入ってないポーチ一つで飛び出したあたしは行き場もなく、
翔に電話をかける。


けど、出るはずもない。

翔は仕事中。
あたしの知らない女と楽しそうにしてる。




「やだよ…」



こんな感情、生まれるなんて。


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