first love
翔はあたしにタクシー代を渡して、
タクシーに乗らせた。


「仕事終わったらすぐ帰るから、待ってて」






あたし、何してるんだろう。


仕事バックれて、
翔の仕事まで邪魔して、

何してるんだろう。




家に着いて、考えていた。



"翔がナンバー落ちたの、自分のせいって思いません?"


"本当に好きなら、別れると思いますけど。
翔のためにも。"


アヤナの言葉が頭の中をグルグルと駆け回る。





"翔といたってリスクしかないじゃん"

マナミの言葉も。








本当はとっくに分かってた。
最初から分かってた。



翔とはいない方がいい。



翔のためにも、あたしたち一緒にいちゃだめ。


それに何より、


翔といることは
いつかNo. 1を失うことになることを知ってる。




あたし、全然特別じゃない。
普通の女なんだよ。


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