ワガママ
chapter2*

入学してからもう1週間が経過した
でも私の隣は未だに空いている。
名前を聞いたときに想い浮かべたのは広くて大きな空だった。
きっと青くて優しくて何もかもを包み込んでしまうような青がぴったりな空みたいな人なんだろうなって。
まだ見たこともない人のことをこんなに気になったのはきっとたまたま私の隣が空席だったから。
別に青くんじゃなくても気になってたんだって心の中で自分に言い訳した。

それから何週間も着々と過ぎていって
1ヶ月が経過してしまった。
「そろそろ、学校来るかな、、?」
「まだ来てないね、」
柚も青くんが来ないことが気になっているらしい。
「碧空、私先生の所呼ばれてるから行ってくるね」
「うん、待ってるね」
友達も結局つくれなくて独りぼっちが寂しくて机に突っ伏していたらウトウトしてきた
ガラガラ、、
教室のドアが開く音で目が覚めた
カタン、、
「柚~やっと戻ってきた~待ってたんだよ! え、あ、すいません。」
柚違うじゃん! うわ、恥ずかしいよ
「、、びっくりした、 大丈夫だよ」隣に座った彼は相当驚いた様子で少し笑いながらそう言った
え? 隣に座った彼、、?
え、え、!!!!
私の隣、青くんだ!!
「ねえ、」
「は、はい」
「名前何ていうの? 俺は碓氷 青」
「し、知ってます 涼風 碧空です」
「隣の席だよね? よろしく」
隣の席の青くんは私が想像している以上にかっこよくて、笑顔がキラキラしていた
柚、絶対好きになっちゃうだろうな
他人事みたいに考えてながら青くんをしばらく見つめていた
ガラガラ、、
「ただいま~ 、、え?」
「柚待ってたんだよ~」
寂しくて柚に話かけようとしたけど柚は青くんを見つめて目を見開いていた
「青くん、、?」
「俺のこと知ってるんだ、うわさの柚ちゃんだよね? よろしく」
「う、うん よろしくね!」
「あのさ、職員室行ってたんだよね?」
「うん?」
「担任の先生いた?」
「いたよ! 奥の席にいた」
「そっか、ありがとう  じゃあ俺先生のとこ行ってくるからまた後で」
青くんはそう言い残して教室をあとにした

しばらく2人とも何も言わなかったけど柚がポツリともらした
「青くん、、想像以上だったね、、」
「優しい人だね、」
「髪は茶色でサラサラ、フワフワだし、目も茶色で宝石みたい。 鼻筋通ってて肌白くて透き通っててかっこよくて綺麗だったね。」
「背も高かったね」
「ねぇ、碧空? もしかしたら碧空の運命の王子様は青くんかもね?」
「え、! な、何で?」
「違うの?」
「分からないけど、、憧れてるんじゃないかな、」
「でもさ、そうだったら私は応援するからね? 言ってきなよ、いつでも!」

ねぇ。柚は最初から気づいてたんだね、
私が青のことをスキになって、恋をすることも、青が私の運命の王子様だったことも。
全部分かってたんだね。

青くんが初めて来た日からもう2ヶ月が経った。
青くんはあれから一度も休んでいない。
あのあとすぐに席替えがあって青くんと離れてしまってから一回も話していない。
入学してから2度目の席替えくじが回ってきて隣になれますようにと祈りながら自分の名前を書いて回した。

次の日の朝のホームルームで席が発表されて、私は窓側の一番後ろの席になった。
青くんは廊下側の一番後ろだ、、
期待、してたのにな、、
カタン、、
「涼風さん、また隣だね、よろしく」
隣でそう言って微笑むのは青くんだった。
「え、? 何で? 廊下側じゃなかった?」
「んー、窓側が寝心地いいから? 変わってもらった」
子供が悪さをしたときのような顔で笑った
「そっか よろしくね」
それから青くんとはたくさんお話しをした
何が好物で何が嫌いとかたわいのない会話だった。
でも、私がずっと気になっていた質問をすると青くんはなぜか辛そうに顔を歪め、苦しそうに笑った
「青くん入学式のときから1ヶ月休んでたでしょ? 大丈夫だったの?」
「、、大丈夫だよ、少し長い風邪ってとこかな、、? あ、そのときの宿題みせてもらってもいいかな。」
気になったけど青くんが大丈夫と言ったのを聞いて安心した
青くんは宿題をしながら私とたわいのない会話をしてくれた


帰り道、ひまわりがたくさん咲いているのを見て夏が近づくのを感じた。
もっと青くんと仲良くなれたらいいな。
青くんに近づけたらいいな。
夏は私の恋を応援してくれた気がした。


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