白、もしくは灰色の壁

しかし、こんな弱い自分を見せたくなく何よりも自ら大きな壁を作りあげている卑怯な人間だと知られないために、前向きで明るくフレンドリーで人懐っこいもう一人の自分を作った。

友達にも家族にも同僚にも上司にも最愛の人にも、嘘の自分を演じ続けた。
嘘であっても自分の目の前の壁を乗り越えれるなら構わなかった。なんとか乗り越えようと必死に頑張った。


しかし、その壁は乗り越えようとすればするほど大きくなって私を絶望に突き落とした。


壁に圧倒され見えるものは色のない絶望だけでしかなく、生きる事に幸福を感じなくなった。


何故、私の目の前に現れるの?
何故、私から大切なものを全て奪うの?


誰を憎めばいいのか分からなくなった。
自分は一生孤独と絶望の中で生きていくのだとそう思った。

周りの人の一生のパートナーは支えてくれる優しい恋人、自分の一生のパートナーは自分自身から全てを奪う大きな壁。

この世界を生きたいとは思わなくなった。
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