異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。



ハルトから招待状を受け取った翌朝、一度バルドの翡翠宮に戻って体裁を整えてから、セイレム王国へ旅立った。


一応、公的に招かれた以上は男の子や旅人の格好で訪れる訳にはいかないし、それ相応の護衛や侍女もいる……のだけど。


バルドが「要らん」とバッサリ切り捨てたお陰で、侍女は侍女長ひとり。護衛は侍従長のヒルトさんともう一人の近衛騎士だけ、という何とも味気ない人数になった。


侍女も護衛も要らないとバルドはのたまうてましたが、ミス・フレイルの粘り勝ちでどうにかこの最低限の人員になったってわけ。


あたしも別にひとりでいいと思ったんだけど。


『ドレスはお一人で着られますか? お化粧も髪を結うのも全てご自身でなされるのですか?』


ミス・フレイルのその冷静なお言葉に、降参するしかなかった。


やはり招かれるならドレスを着なきゃいけないけど、ぶっちゃけあのヒラヒラをひとりでは絶対に無理です。 おまけにメイク……もっと無理です。


100均のコスメですら使った経験がないあたしに、なんと難易度が高い試練。せいぜい口紅を塗りたくるしかできまへん。


護衛として着いてきたロゼッタさんは美人ではあるけれど、ドレスの着方なんて知らないし。彼女たちのお化粧は鉱物を砕いて水で溶き練ったものを塗ること。 全然習慣が違うから、こういう点では頼りにならない。


だから、泣く泣くミス・フレイルに同行をお願いしました。

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