異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。



「え、芹菜。これから起きることって……どういうこと?」

「話せば長くなるのだけど、今のうちに話しておいた方がいいわね……あと、ヒスイ。そこにいるんでしょ?」

「は? ヒスイって」


芹菜があたしの頭上に視線を移して呼びかけると、細かな光が集まってふわりとヒスイが姿を現した。


《なんじゃ。力を蓄えるため休んでおったに、わらわを呼ぶ必要があるのか?》

「もちろんですわ。これから男たちは戦わねばならないのだけど、女たちは女たちで違うフィールドで戦う必要があるの。だから、わたくしはそれを伝えようと思います」


椅子に座ったセリナは凛とした雰囲気で、とてもあの親友と同一人物とは思えない。落ち着いた優雅な物腰も、洗練された仕草も、長年の習慣がそうさせてる。どれだけの時間を隔ててここにいるのか。それを思うと、胸がずきずきと痛んだ。


「戦い? これからなにかあるんですか」


やっぱり気になるのかユズがセリナに訊ねる。セリナはゆっくりと頷いて、あたしたちを見回した。


「ディアン帝国は、かつて世界を統一しようとした大帝がいたの。帝国ができる千年ほど前に栄えた古代文明。その終わりはひとつの兵器によっての滅びと言われています」


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