異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。



「千年前……平安時代だね」

「日本だと、ね。その古代兵器はとても恐ろしいもので、すべてを破壊しつくし、すべてを焼きつくした。さながら地獄が地上に現れたように。何もかもが焼かれて最後に残ったのがただ一つの村。そこに一人の女性が現れて……苦難の末に古代兵器を封印したそうよ。それで、世界は救われたのだ……そう聞いています」

「そういえば、セイレスティア王国でも聞いたことがあります。“灼熱の100日間”と呼ばれる地獄の時期があったって」


ユズはセイレスティアの王太子妃だから、そういった歴史も学んでたんだな。ディアン帝国に隣接するセイレスティア辺りでも、相当な被害に遭ったんだろう。


「きっとこの大陸にある国々では、大なり小なり何らかの形で伝わっているはず。古代兵器を復活させてはならないとの戒めの意味でも」


セリナはそこまで話すと、ふうと息を吐く。レヤーが淹れたアールグレイを渡すと、「ありがとう」と微笑んだ。

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