さよならさえ、嘘だというのなら

「考え方が変だろうが」
凪子の話に驚いて口を挟む俺。

「でも、それしか方法はなかったの」
凪子は髪をかき上げ
微笑んでからまた話を続ける。

兄からの全ての暴行を受け止めるように……それは両親からの指示だった。

「去年の今頃……初めてお兄ちゃんにレイプされた時、家の中には弟以外みんな居たんだよ」

大きな屋敷の中で凪子の悲鳴が響いたけど
誰も助けに来なかった。

両親も執事も料理人も庭師もハウスメイドも……家の中でそろってたのに、誰も助けに来なかった。

「その頃から傷が増えていった」

そっと服の袖をめくると
痛々しい傷が無数にある。

智和おじさんは苦い顔でそれを見る。

凪子は弟以外は信じられず
自分の家が怖くなった。

「だから、どんなにいじめられても、学校には行ったよ」

痛々しい告白が続き
俺の心も重く苦しくなってゆく。

他に方法はなかったのだろうか。

須田海斗は凪子を与えられると大人しくなり
知らない人から見れば
優等生の好青年
妹にピッタリくっつき面倒を見る優しい兄。

でも須田海斗は家に戻ると
凪子を殴る蹴る
そして

乱暴にレイプを繰り返す。




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