わたしのイトリくん
コートを掴み、慌てて追いかけるが
湊人くんは既にお会計を済ませて外で待っていた。
「み、湊人くん!ごめんね、いくらだった?」
「いやいや、いーっすよ!
突然呼び出したのは俺なんで」
「でも.....」
「じゃあ...次はヒイロさんに飲み物奢ってもらうので!」
ニッコリと人懐こい笑顔でそう言われてしまえば、もう何も言えない。
ここは有難くご馳走してもらうことにした。
「ふふ、分かった。湊人くんありがとう。ご馳走さま!」
(湊人くん、しっかりしてるなぁ。
私も大人なんだから腑抜けてないで、ちゃんとしなきゃ)
そして私たちは既に辺りが暗くなった道を歩き始めた。
「俺、イトリのマンション行くの初めてです。」
「あ、そうなんだね。
確かにイトリくんが友達呼んでるの見たことないかも。」
「あいつ結構、秘密主義っすよねー!
ヒイロさんのことだって、あの待ち受け見るまで教えてくれなかったですもん。」
横を見上げれば頬を少し膨らませているご様子。
「ね、イトリくんからどんな風に私のこと聞いていたのかな?知るの怖いよー」
「それは秘密でーす!」
「ちょっとそれは逆に気になるよ?!」
湊人くんは、愉快そうに笑ったと思ったら
突然何かを思い出したかのようにポケットの中をまさぐった。