ハロー、マイファーストレディ!

どうしてだろう。
部屋の外へ出られないこと、世間から好奇の目を向けられていること、鳴り止まないインターホン。
ほんの数ヶ月前と状況はあまり変わらないはずなのに、私の気持ちは大きく違っていた。

“君のことは、絶対に守る”

そのひとことを聞いただけで、不思議と不安に思う気持ちはどこかへ行ってしまった。

これが、恋の力というものなのか。
我ながらその威力に驚く。
守ってもらわなくとも、私はこの力があれば大丈夫だとさえ思えるのだ。


皆藤さんとの通話を切ってすぐに、瞳から掛かってきた電話。
開口一番、助けにいくと叫んだ瞳をなだめた後で、彼女に素直に今のありのままの心境を打ち明けた。
このところは、色々とあって彼女にもなかなか会えていなかったから、色々と報告するのは久々だった。

「何だか嬉しいような、少し寂しいような、複雑な気持ち。」

てっきり久々の私の浮ついた話に食いついてくるのかと思いきや、彼女の第一声は反応はとても冷静なものだった。

「何よ、その感想は。」

意外に思って、尋ねれば少し寂しげな声で彼女は答える。

「うーん、私だって真依子には恋愛して欲しいとずっと思ってたよ。でも、実際にそうなった真依子の話を聞いてみると、寂しい気もするのよね。ほら、何て言うのか、今まで真依子と一番親密だったのは私なのに、これから先は違うんだろうなと思ったら少し切ないみたいな。」
「大げさね。そんなことないってば。」
「だいたい、そんなことになってるなんて、今、初めて聞いたしさ。心の準備も出来てなかったわけ。まあ、しばらくお互い忙しかったしね、仕方ないんだけど。今度、もう少し詳しく聞かせなさいよ。」
「とりあえず、この問題が片付いたらね。ゆっくり、話すわよ。」
「うん、実は私も真依子に報告したいことがあるからさ。」
「何?新しい彼氏でも出来た?」
「うーん……ま、そんなとこ。とりあえず、今度会ったときに話すから。真依子は、ちゃんと彼を信じて待ってなさいよ。絶対に外に出ちゃダメだからね!」
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