ハロー、マイファーストレディ!

「そんなに心配しなくても、必要な時にしか、手は出さない。」
「ひっ、必要な時って何よ!」
「そりゃ、排卵日だな。」
「は、排卵日?!」
「当たり前だろ、子どもを作るには排卵日にセッ…」
「ああ!全部言わなくてもいい!…こ、子どもも要るの?」
「跡継ぎは、最低一人は必要だ。」
「聞いてない!」
「でも、契約は成立済みだ。」

真っ赤な顔で慌て出した真依子を見て、俺の中の小さな加虐心が煽られた。
この慌て方といい、恋愛しないと公言していることといい、彼女はそれほど男慣れしていないのだろう。
いつも、口を開けば俺に悪態を吐く唇を、少しはしおらしく黙らせたい。
スーツのポケットに忍ばせたものを使うつもりは微塵もなかったが、ふと、少しくらい彼女をからかってみてもいいかと思い立つ。

「せっかくだから、このまま体の相性も確認しておくか?」
「ちょっ、何言って…」
「ほら、こっち向けよ。」
「やっ…きゃっ…」

慌てて逃げようとした真依子の肩に手を回し、素早く唇を奪った。
軽く触れただけで離れると、真依子は驚いたように目を見開いて呆然としている。
その顔は、俺を思いの外喜ばせ、さらなる加虐心に火をつけた。
思わずにやけそうになる顔を取り繕いながら、逃げられないように彼女の後頭部に手を回して、再び口付ける。
今度は、彼女の形の良い唇の感触を味わうように、ゆっくりと押しつけた。
その柔らかく温かい、何とも言えぬ感触に、どうにも離れがたくなる。

「んんっ、ちょっと…」

しばらく呆然としていた真依子も、ようやく我に返ったのか、肩を揺らして少しだけ抵抗する。
俺は名残惜しそうに、小さなリップ音を立てて、唇を離した。
目を開けると、目の前の真依子は予想通り顔を真っ赤に染めていて、目を大きく見開いたまま、固まっていた。
俺は狙い通りの彼女の反応に満足しつつも、新たに別の欲求が芽生えてくるのを抑えきれなかった。
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