ハロー、マイファーストレディ!

もうしばらく、こうしていたい。

女とキスをすること自体、何年ぶりか分からないくらいだが、過去にそんな風に感じたことなど一度も無かった。
もともと透ほど女好きでもない。どちらかと言えばこっちの方面は淡泊な方だと認識しているし、肝心な場面では必ず理性が働く。
しかし、目的を忘れて、つい求めてしまうほど、彼女の唇は魅力的だった。

「目くらい、閉じろよ。恥ずかしい奴。」
「なっ…!」

からかうように言った一言に、彼女が反発しようと口を開きかけた隙を狙って、再び強引に唇を奪う。
自分でも、どうかしてしまったのかと思う。
少しだけ酒に酔っていたことを差し引いたとしても、自分には有り得ないはずの行動だった。

今度はもっと深く貪るように口づけて、僅かに開いた唇の隙間から彼女の口内に押し入った。
戸惑う彼女の舌を強引に絡め取れば、彼女の口の端から「んっ」と微かに息が漏れる。
それが何かの合図だったように、俺は彼女とのキスに夢中になり、いつのまにか彼女をソファへに押し倒していた。
真依子はもう抵抗していなかった。
目は恥ずかしさに絶えるように固く閉じられ、息苦しそうにしながらも、ぎこちなくキスを受け入れている。

頭の片隅ではそろそろ止めなければと思っているのに、真依子の必死な姿にどうも理性が上手く発動しない。

次第に、自分の体が熱くなるのが分かった。
明らかに、目の前の女に欲情している。
この感覚は、何年ぶりだろうか。

まずいな、もう止められそうにない。

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