ハロー、マイファーストレディ!
「気にするな。俺としては好都合だ。」
「えーっと、何が?」
「どんなに叩いても、過去の男の一人すら出てこないってことだろう?スキャンダルの種は極力少ない方がいいからな。むしろ、俺にとっては、ラッキーだ。」
「…ソウデスカ、ソレハドウモ。」

なんだか変な褒められ方をして、恥ずかしいのもあって、素っ気なく返事をする。

「血迷っても、この先、いきなり押し倒すことはないから、安心しろ。」
「お願いします。浮気でも何でもしてもらって構わないから。」

気を遣いながらも、本心を述べたまでなのだが、彼は何かが気に入らなかったらしい。
不機嫌そうに眉を寄せて、気怠げに口を開く。

「そんなわざわざスキャンダルを招くような馬鹿な真似はしない。」

そして、再び私の顔を覗き込むようにして、私の耳元に向けて囁いた。

「さっき、言っただろう?一生、君だけで十分だ。」

そんなこと、言ってた?
という顔をしたら、彼はたちまち呆れたような笑みを浮かべた。

「まあ、いい。将来的に跡継ぎさえ出来れば、俺は何の不満もない。」
「はあ…」

いえ、それが一番難関です、とは言えずに適当に相槌を打つ。

「透と違って女好きでもないしな。」
「あの人、やっぱり女たらしなのね…」
「ああ、よく分かったな。」
「いや、瞳はダメな男を引き寄せる天才だから。」
「なるほどな…」

妙に二人で納得して、頷きあった。
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