恋愛優遇は穏便に
一人ベッドで眠るのは寂しいけれど、次の日が仕事だからしかたがない。

政宗さんが夢の中に出てくれないかな、と思いながら眠ったけれど、気が付いたらスマホの目覚ましが鳴った。

結局、政宗さんが夢に出るわけでもなく、寝ぼけ眼でベッドから起き、朝の支度をした。

窓を開けると冷たい風が部屋の中へと入ってブルっと体が震えた。

クローゼットを開き、薄手のコートに手をかける。

隣には食事会でも着たワンピースがかかっていた。

一瞬、政義さんの顔が頭に浮かんだけれど、頭を振って考えないようにした。

コートを羽織り、カバンを手に取って会社へと向かう。

肩をすくめながら歩くサラリーマンやマフラーを分厚く巻いているOLの姿をみる。

通勤の歩道にある街路樹はすでに赤や黄色に葉が染められていた。

会社についてロッカー室に入ると冷たい空気が足元に流れてきた。

制服に着替え、気合をいれるべく事務室のドアを開け、大きな声であいさつをした。


「おはようございます」


政宗さん、北野さん、高清水さんが各々あいさつを返してくれた。

席に座り、仕事の準備をしていると、


「なんだかすっきりした顔してますけど」


と、流し目で高清水さんがいってきたので、


「そうかもしれませんね」


と返したらそばで聞いていた北野さんと政宗さんがクスッと軽く笑っていた。
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