恋愛優遇は穏便に
電話を切る。これで少しは週末の時間潰しになったかな。

ちょっとでも結婚資金の足しになればいいなと思った。

事務室に戻ると、高清水さんが怪訝そうな顔つきでこちらをみていた。


「どうかしたんですか? 急いで」


「派遣の責任者から電話があって」


「もしかして、何かやらかしたんですか?」


「そんなことないですよ」


高清水さんはじっと私を見据え、ペットボトルの水を飲んでいた。

さすがに金曜日だけの会社のことは言えない。

言ったらまた誇張して怒られるに違いない。

ペットボトルを机に置き、高清水さんは下唇を噛んで、それから口を開いた。


「まだ契約中なんですから、やめるって話はナシにしてくださいよ。……別にいいんですけど」


「高清水さん」


「お昼休みなくなりますよ。午後も受注発注の処理で忙しくなりそうですから。ちゃんとごはん食べてくださいよっ」


「あ、はい……」


高清水さんは照れながら持ってきたおにぎりをかじっていた。
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