恋愛優遇は穏便に
「おまたせ」


食欲をそそられる香りがする。

小さな白いカレー皿に盛られたのはカレーライスだった。


「母さん直伝のカレー」

満足そうな顔を浮かべ、政義さんも自分のカレーライスの皿をテーブルに置き、向かい合わせに座った。


「いただきます」


口の中に広がるスパイシーな味とともに、野菜や肉がゴロゴロと入っているのに柔らかくておいしい。


「おいしいです」


「ありがとう。そうやってむつみチャンに褒められると、嬉しいよ。ところで、むつみチャン、政宗とカレー食べないの?」


「あ、そういえば」

すくったスプーンの手をとめた。

確かに政宗さんと一緒にご飯をつくっているとき、たまにはカレーなんかにしようといったらはぐらかされたことがあった。


「やっぱり、食べてないか」


「やっぱりって?」


「思い出のカレー」


「え?」


「いっつもボクに負けて悔しくて泣いているところを母さんがカレーを出して勇気づけていたんだよね」


「お母さんは今?」


「母さんと父さんは海外に住んでるよ。政宗もたまに連絡とってるみたいだけど」


「……そうでしたか」


「母さんの話、あんまりしてないんだ」


「え、ええ」


「母さんの話、したがらないんだよねえ。どうやらボクは母親に似たのかもしれないけど」


そういうと、政義さんがカラ笑いをした。
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