恋愛優遇は穏便に
「どうして、お母様の話をしないんですか?」


「母さん、けっこう遊んでたみたいだから」


「えっ」


ふ、と軽く笑い、政義さんはカレーライスをぱくついた。


「父さんは黙ってたみたいだけど、母さんの男の影」


「そ、そうでしたか」

深く突っ込んではいけないところだったのか。

私も静かにスプーンで残りのカレーを食べる。


「ボクは別にいいんだけど、政宗がねえ」


政宗さんが言いたがらないのも無理はないか。


「お母様は、今は」


「まあ、今は年とったし、それよりも父さんと海外でのんびりやってるよ」


「そうですか」


「楽しく二人で過ごしてるところみると、うらやましくってね。いつか結婚する相手も仲睦まじいところを見せつけるぐらいの人にしようって思ってるんだけど」


そういって、政義さんはちらりと私を見た。


「ご、ごちそうさまでした」


話をごまかすように、カレーをたいらげ、立ち上がり、自分の皿を片付けた。


「おいしそうに食べてもらえてよかった。じゃ、お酒にしようか」


「え、でも。もう食事が済んだじゃないですか」


「まだ、食事は続いてるよ。もらいもののお酒があるんだ。一人じゃ飲みきれないからさ、一緒に飲んでよ」


「え、でも」


「付き合い二日目でしょ。ささ、おいしいおつまみもあるからさ」


そういうと、片付けはあとでいいから、座っててと政義さんに促され、先ほど座っていた席に戻った。
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