恋愛優遇は穏便に
「朝からおアツイこと」


高清水さん独特の軽い毒が吐かれる。

確かにごもっともなご指摘だ。


「まあ、別にいいんですけど」


そういうと、何も言い返さない私をみてクスっと笑ってくれた。

あの試作室の件があってから高清水さんと私の仲が少しだけ縮まったように思えた。

入力を終え、印刷をかけて、プリントを渡すと、高清水さんが声をかけた。


「森園さん、ここの数字の入力間違ってますけど」


「……あ、すみません。やり直します」


「よろしくお願いしますよ」


抑揚のない話し方になるときはたいていイラついているんだろうなあと推測する。

怒らせないように気をつけないといけない。

もう少し私自身もミスを減らさないといけないな。

いい歳をしてるんだから、もう少ししっかり仕事をこなさないと。

直してOKをもらったときはホッとした。

電話応対や受注のFAX応対をしていたらお昼になった。


「森園さん、お昼です」


「あ、わかりました」


高清水さんは席を立った。

私はパソコンのある書類を保存し、休憩に入った。

「しばらくたってから戻りますから」

そう言い残すと高清水さんは行ってしまった。
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