恋愛優遇は穏便に
「心配かけて、ごめんなさい」
「心配するに決まっています。あなたは、会社にとって大切な人材ですから」
黒ぶちメガネの奥から冷ややかな視線が突き刺さった。
急に胸がくるしくなる。
私はもう政宗さんの彼女ではないの?
大事な会社の人間ということで片付けられてしまったのか。
テーブルの横に白い紙袋が置いてあった。
あれは確か、黒髪の女の人からもらったものだろうか。
すくっと上体を起こした。
「もう大丈夫ですから」
「ですが」
「……ウチでゆっくり休みます」
「送っていきますよ」
「歩いて帰れる距離じゃないですか。助けてくださってありがとうございました」
コートとカバンもベッドの横にきちんと置かれていた。
私はカバンの中からキーケースを取り出し、一本の鍵を渡した。
政宗さんの部屋のスペアキーだ。
「これ、返します」
「むつみさん、いいんですか」
「好きな人になった人にでも渡してください」
政宗さんは何も言わず、鍵を握ったままだった。
コートとカバンを持つとそのまま政宗さんの部屋を飛び出した。
追いかけてくれると思っていた。
後ろから抱きしめてくれると思っていた。
でも、現実は政宗さんは後ろから抱きしめてくれない。
追いかけてもくれなかった。
苦しかった。
久々に会ったのに。
ちゃんと話せばよかったのに。
あのロビーにいた女性は一体どういう関係なの、と聞けばよかった。
結局、私はただの派遣先の上司と部下の関係になってしまった。
「心配するに決まっています。あなたは、会社にとって大切な人材ですから」
黒ぶちメガネの奥から冷ややかな視線が突き刺さった。
急に胸がくるしくなる。
私はもう政宗さんの彼女ではないの?
大事な会社の人間ということで片付けられてしまったのか。
テーブルの横に白い紙袋が置いてあった。
あれは確か、黒髪の女の人からもらったものだろうか。
すくっと上体を起こした。
「もう大丈夫ですから」
「ですが」
「……ウチでゆっくり休みます」
「送っていきますよ」
「歩いて帰れる距離じゃないですか。助けてくださってありがとうございました」
コートとカバンもベッドの横にきちんと置かれていた。
私はカバンの中からキーケースを取り出し、一本の鍵を渡した。
政宗さんの部屋のスペアキーだ。
「これ、返します」
「むつみさん、いいんですか」
「好きな人になった人にでも渡してください」
政宗さんは何も言わず、鍵を握ったままだった。
コートとカバンを持つとそのまま政宗さんの部屋を飛び出した。
追いかけてくれると思っていた。
後ろから抱きしめてくれると思っていた。
でも、現実は政宗さんは後ろから抱きしめてくれない。
追いかけてもくれなかった。
苦しかった。
久々に会ったのに。
ちゃんと話せばよかったのに。
あのロビーにいた女性は一体どういう関係なの、と聞けばよかった。
結局、私はただの派遣先の上司と部下の関係になってしまった。