恋愛優遇は穏便に
「だから、素直に生きようって。そう思っていたら、ね」


そういうと、北野さんがぱあ、っと明るい顔になったけれど、すぐさま珍しく顔を赤らめていた。

高清水さんが赤らめた北野さんの顔をみながら、取り皿に乗せられた料理を食べ終え、また質問した。


「で、出会ったんですか?」


「うん。この間の研修のときに意気投合した人がいてね。新しく入った人なんだけど」


「ああ、研修会に来ていた、営業の浦賀さんですか。レクリエーションで同じ班でした。かなりのイケメンですね」


そういうと、北野さんはイケメンだなんて、と照れつつ、テーブルにあったビールを軽く飲んだ。


「うん。最近、中途採用で入った隣の県の営業所に勤めてる同い年の人なんだけど、ウマがあってね。研修会とは別に営業の研修のときに帰りに話をしたら、向こうフリーだっていうものだから。トントン拍子でびっくりしちゃった」


北野さんから清々しく笑う声に私も高清水さんも何も言えなかった。


「未来のない付き合いはもうやめたの」


北野さんの目に輝きが宿っている。

新しい恋をしている目だ。

ようやく北野さんにとって納得がいく男性が現れたんだな、と思ったらホッとした。


「始まったばかりだから、今は自分たちのいいところばかりみてしまうんだろうけど、それがいいのかもしれないね」


好きだからこそ、相手の好きなところばかりを見つめてしまう。

私だって政宗さんを好きだからこそ、政宗さんのいいところをみてしまう。

長く付き合えば、悪いところも見えていくのか。

大和のときもそうだった。

じゃあ、政宗さんは?

政宗さんの悪いところ、ってなんだろう。

悪いところは、確か……。
< 208 / 258 >

この作品をシェア

pagetop