恋愛優遇は穏便に
「研修旅行のとき、気にしてましたよね、北野さん」


「うん。今頃むつみさんは何をしてるんだろう、って駒形さんにつぶやいてるの聞いたから」


「そう、なんですか?」


私のこたえに、二人とも飲み物に手を出していたけれど、飲まずに固まっていた。


「え? 聞いてなかったの?」


「ええ。まったく」


さすがにその頃は話す時間など与えてくれなかったし、政義さんの一件もあったから。


「てっきり、研修施設抜け出して会いにいっているとばかり思ってたんだけど」


「え……」


「二日目の夜でしたっけ。駒形さんにお願いして外出許可をもらって三日目の朝に帰ってきたんでしたよね」


「そう。次の日帰って研修に参加してた。特別変わったところはなかったけど、三日目は暗い顔してて、研修中も頻繁にミスが発生しちゃってね。あんな優秀な子がどうしちゃったんだろうってみんな話してたんだよね」


「……そうだったんですか」


知らなかった。政宗さんの身に何が起こったんだろう。


「早く仲直りするといいね」


「え、ええ」


政宗さんとの仲を修復できるだろうか。

考えれば考えるほど、もう無理なんじゃないか、と不安にさいなまれる。

北野さんがお代わりする? と催促してきたので、私も高清水さんも同じく注文した。
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