恋愛優遇は穏便に
ほっとしたのと同時に不安が襲う。

ようやく政宗さんに話すことができた。

私が招いたことなんだから、政宗さんの態度が冷たいに決まっている。

それでも、車内で二人っきりで話ができたのはよかった。

12月25日に政宗さんと顔を合わせて話し合いができる。

まだICレコーダーの件は話せなかったから、そこでうまく話ができるかどうか。

これ以上、政宗さんにも迷惑をかけ続けるのも申し訳ない。

きっとこの恋愛は終わりになってしまうんだろうと、わかっているからこそ、自分から言えなかったのがつらい。

少しだけでも政宗さんの彼女として一緒にいられて嬉しかった。

金曜日になり、仕事を終わらせてから、政義さんの会社へ向かう。

どうやらうかない表情だった。

気づかないふりをして、メーラーを立ち上げる。

各部署の担当者から話を聞きました、残念ですといった文面がところどころに入っていた。

指示通りの仕事をこなし、時間通りに仕事を終わらせ、勤務表を政義さんへ提出する。


「残念だよ」


政義さんが唇をかみしめている。


「12月で契約を打ち切ってくれ、って郡司に頼んだそうだね」


「もう決めたので」


勤務表にサインをしてくれて、すぐに私へ返却してくれた。


「続けようっていう気持ちにはならなかったの?」


「ええ。ちょうどいいと思って」


「やめたからって簡単にボクとの付き合いが終わるとでも思ってるわけ?」


「そう言われると思ってました。でも、もういいんです。政義さんといろいろありましたけど、政義さんのこと、何も思っていませんから」


政義さんの深いため息が部屋中に響き渡った。


「意思は固いみたいだね。わかった」


「はい。12月の最終金曜日までよろしくお願いします」


最終日は12月25日。金曜日だ。
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