恋愛優遇は穏便に
「森園さん、森園さんてば」


高清水さんが大きく声をかけてきた。


「あ、はい……」


「未処理のFAXまだありますよ」


高清水さんがFAXの束を手にして私の机の上に置いた。


「ごめんなさい。今やります」


「しっかりしてくださいよ。本社の人に怒られるじゃないですか」


「すみません……」


高清水さんは腕組みをして、にらんでいる。

相変わらずの高清水さんの怒り節は健在だった。

それもこれも自分のせいなんだけれど。

さっきからずっと新しい仕事について考えてしまっている自分がなさけない。

あわてて数字入力を間違えそうになったけれど、すぐに直して保存をかけた。


「受注処理終わりました」


「ありがとうございました。どうしたんですか、森園さん」


「え、いえ別に」


「いつもならこの書類の処理に手間取りませんよね」


「そうでしたっけ」


「調子悪いんだったらちゃんと言ってくださいね。あたしがやりますから!」


「……ごめんなさい」


高清水さんはムスっとした態度のまま、仕事を続ける。

私は営業所に届いたFAXの処理と処理した書類を整理し、バインダーにはさむ作業を行った。
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