恋愛優遇は穏便に
「10月の全体研修、連れていってもらえるように駒形さんにお願いしようかな」


北野さんが申し訳なさそうな顔で言ってきた。


「いえ、大丈夫ですよ」


「毎年国内研修なんだけど、今年は隣の県だから費用も抑えられてるみたいだけど」


「僕からも頼んでみましょうか?」


政宗さんもウキウキしながら北野さんの話に賛同している。


「同じ職場ですけど、別会社から来てるっていうだけで、他の営業所から特別扱いされているっていう目でみられると思いますけど」


と、高清水さんは冷静にこたえていた。


「……そうだけど」


北野さんはちょっと残念そうだった。


「いいんですよ。その分、ゆっくりさせてもらいます」


「ごめんね、むつみちゃん」


「そんなことより、仕事しましょう、仕事」


どんよりした空気を一掃するべく、私はカラ元気にこたえた。

政宗さんと北野さんは営業先へと向かっていく。


「派遣のヒトもいけるっていう前例がないからしかたないですよね」


高清水さんはパソコン画面にむかってしゃべっていた。
< 59 / 258 >

この作品をシェア

pagetop