恋愛優遇は穏便に
そして、金曜日になる。昨日まで普通にしていたのが不思議だった。

普段と同じ業務をしていても、これからはじまる新しい会社でのことで緊張感が増していた。

お昼になって、高清水さんが席をはずすと、しばらくして政宗さんが事務所に戻ってきた。

会社で見せる笑顔ではなく、私だけに見せる特別な笑みをみせていた。


「政宗さん……」


「お昼、一緒にするのもいいかな、って」


ただ、よりによって今日、政宗さんがお昼に帰ってくるなんておもってもみなかったから、複雑なキモチだ。


「どうしたんですか? 浮かない顔して」


「いえ、別に」


「もうちょっと喜んでくれると思ってましたよ」


政宗さんは私を見ると不満そうにむくれている。

でもその顔はかわいらしかった。


「喜んでますよっ」


「顔、ひきつってますって」


クスクスと笑いながら政宗さんは自分の席についた。


「そうですか。会社の中だとどうしても」


「まあ、ムリはないですね」


嬉しそうに買ってきたコンビニの袋からコーヒーとお弁当を取り出している。
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