恋愛優遇は穏便に
からだの形を確認して、トロトロにとかされ、また互いのからだの形を探る。

そのやりとりなのに、どうしても最初からはじめてしまう。

果てた何度目の頃に、政宗さんは隣でさみしそうな顔を浮かべ、私を見ていた。


「むつみさん」


「政宗さん、どうかしましたか」


「どこにもいかないで」


ぎゅっと抱きしめられる。

まるで子供が母親に抱きつくような、感情をすべてからだで表現したような、そんな感じだった。


「いかないですよ」


「ずっと僕のむつみさんでいてくださいね。必ずですよ」


「ええ」


たっぷりキスをする。

愛情が重なり合うキスはどうしてこう気持ちがいいんだろう。


「変なこと言ってごめんなさい。どこかへいってしまいそうで怖くなりました」


「どこへもいかないですよ。それでも政宗さんが私の意識をどこかへ放ってしまいますけど」


「それならいいんですけど。僕もむつみさんのおかげで意識がどこかへ飛んでしまいます」


そういって政宗さんは笑ってくれた。

少しだけ翳りをつくって。
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