恋愛優遇は穏便に
これからって何も起こるわけがあるわけがない。

私には政宗さんがついている。

間違っても政義さんと付き合うだなんて、そんなことはない。

仕事を再開すると、政義さんは自分の机に戻り、仕事をはじめた。

相変わらず発せられる甘ったるいオーラを無視して、残りの印刷物を整理して封筒にしまった。


「あとはボクが手配しておくから」


「……よろしくお願いします」


「さて、もう時間だね」


壁にかかった時計をみると、21時を少しまわっていた。

急いで勤務表に記載し、政義さんにサインをもらった。


「一緒に行く?」


「何言ってるんですかっ」


「政宗に怒られるか」


そういうと、政義さんはクスクスと少年のように無邪気に笑っている。

気にしないように机や周りの整頓をし、カバンを手にとった。


「あーあ、本気だったんだけどなあ。まあいいや。またあとでね、むつみチャン」


「お先に失礼します」


政義さんの顔をまともにみられず、飛び出すようにそのまま会社をあとにした。
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