月星鬼
放課後ようやく解放された暁たちはこっちに来た。
「挨拶が申し遅れましてすみません。
改めまして暁 夕夜です。」
その横でウトウトしながら立っている日夜。
「沙季だ。」
「沙羽です。」
転入生同士仲良くしようみたいな流れ。
「腕時計見せてくれよ。」
「え、恥ずかしくて見せれません。」
「同級生なんだし。敬語なしだよ。」
「うん。」
一言一言は相手を探るようで、
「沙羽。親父が読んでる。」
私の右手首を掴み行った。
「うん。じゃあまた明日。楽しみにしてるよ。」
何かを察したであろう暁たちは止めることなく私たちを帰した。
正門を出て裏路地へと入って行く。
「確かに怪しい奴らだな。」
「手の甲に何か隠してる。」
「あれは神一族の可能性大だ。」
私の隣を歩く沙季の目には憎しみが滲み出ていた。
双子なのに過去は違う。
沙季は沙季で私は私の過去があって…憎しみや哀しみも違う。
お互いに暴走しないように支えてる。
いつか、またちゃんと伝えれる日があるといいな。
「「動風」」
双子が呟いた言葉を最後にその路地には風の音しか聞こえなかった。