初恋も二度目なら
無意識に前髪に手を伸ばしかけて、すぐ引っ込めた時、部長がフッと笑った。
なんか・・心の内を見透かされてるみたいで、癪だ。

「メガネ変えたのか」
「あぁはい。度が合わなくなってきてたし、かなり古くなってて」

顔が半分埋まるほどの大きめレンズを長年選んでいたけど、今回は、今までより小さめのレンズを選んでみた。
それでも分厚いのは相変わらずだ。

「おまえは・・・」

部長は問いかけるような顔で、私の顔から全身を見た。
と思ったら、左手で私の二の腕を、そして右手で私のウエストを、同時に優しくガシッと掴んだ。

「ちょ・・部長!何するんですかっ!」
「・・・やっぱり。おまえ、痩せたな」

彼に触れられて、ビックリした。
だけどそれだけだったと気がついた私の心は、逆に落ち着いた。

なんだ。私、長峰部長のこと・・・好き、だけど・・・でも、この「好き」は、恋愛感情じゃないと思う。

6年前みたいに、近くにいるだけで、ものすごくドギマギすることもないし。
ちゃんと部長の目を見て言えたし。

今も部長のハンサムな顔を見てるし。

気づいた事実に私がハッとしたとき、部長は少し薄い唇をフッと上向かせた。

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