初恋も二度目なら
「それは・・・身軽になりたくて」
「俺のためか」
「はあ?何言ってるんですか。私自身のためですよ」
「そうか」と言った部長は、ハンサムな顔に温和な笑みを浮かべて、2・3度うなずいた。

部長は何を納得してるんだろう・・・。
それにしても、部長の笑顔は相変わらず破壊力がある・・・って何の!?

「おまえは以前からキレイだったが、ますますキレイになった」
「お世辞は・・・ありがとうございます」
「つき合ってる男がいるのか」
「いません。でも次は、社内の人とはおつき合いしないと決めてます」

ここでまた社内恋愛をして、別れることにでもなってしまったら・・・。
長峰さんの時みたく、相手が海外勤務になるとは限らないし。
顔合わせるのが気まずいから辞めるなんて、おバカなことはしたくない。

「部長、飲み物の用意をしたいので、手を離して下さい」と私が言うと、部長はすぐに手を離してくれた。

「ということは・・・俺と離れていた6年の間、他に男がいなかったんだな」
「部長?よく聞こえなかったんですが」

私は給湯室の方へ、そして部長は自分の席の方へ歩いていたこともあって、部長が何をゴニョゴニョ呟いたのか、私は聞こえなかったんだけど・・・。

「独り言だ」
「・・・そうですか」

彼のことだから、それで会話は終わりだと思った私は、給湯室へ歩いて行った。

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