初恋も二度目なら
「小夜(さや)・・・」

部長の熱い体が少し離れたと思ったら、長い後ろ髪を少しすくい上げられて・・・。
あらわになった私の首筋に、部長が甘く吸いついた。

「ちょ・・・!!」
「・・・おはよ、小夜」
「お、おはよぅ・・・ございます、ぶちょ・・・」

この人とおつき合いをしていた頃、長峰さんはいつも自宅へ帰っていたから、ベッドで「おはよう、小夜」と言ってくれたことはなかった。
そして、営業フロアにいつも二番目にやって来る部長は、「おはよう、卜部」としか挨拶をしてこない。
つき合っていた頃でさえ、こんな朝の迎え方をしたことがないというのに、つき合ってない今、そのときより親密な状況になったのは・・・初めてだ。

「どうした、小夜」
「んっと、部長は私のおうちに来てくれても、一度も泊まったことはなかったですよね。そして私は部長のおうちにお邪魔したことは・・まだ一度もないのに。今ここで、“おはよう”って言ってるのが、ヘンじゃないけど・・・」
「嫌なのか?」
「嫌じゃないです!本当に。恥ずかしくて、嬉しくて・・・でも切ないって気持ちもあって・・・つまり色々・・・あれ?」
「どうした」
「私、こんなTシャツ着て・・・いや!これ部長が着てたTシャツでしょ!それに・・・っ!」

今、自分がブラをつけてる感触が・・・全然感じられないんですけどーっ!

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