初恋も二度目なら
「ここ、これ・・・」
「突発お泊りなんだから、おまえは着替え持ってきてねえし。だからと言って、あいつらのシャツ着せるのは、俺が許さねえし。てことは、俺のシャツ着せるしかないだろ?悠希とユキオは見てねえから安心しろ」
「じゃないですよっ!」
「おまえが照れる気持ちは分かるが、一度も裸を見せ合ったことがない間柄じゃねえだろ」
「でっ、でも・・・っ!」

それでもやっぱり恥ずかしくて、私の目にじわっと涙が浮かんだ。

「小夜、泣くな。俺らは一緒に寝たってだけで、おまえの言う“アレ”までしてねえから」
「そ、じゃない・・・ぶちょ・・すみません。いろいろ・・・ご迷惑を・・・」
「謝るな。迷惑だとは思ってないから。それより小夜、頭痛や吐き気はないか?」
「え?・・・いえ、べつに・・・」
「よし。じゃー起きるか」
「・・・はい」

でも上体を起こしたら、いつもより頭が重い気がした。
つい額に手をやった私を、部長が見逃すはずがない。

部長は、「二日酔い少々ってとこだな」と言ってニカッと笑うと・・・私の額に軽くキスをした。
それだけで、額の重さが少し軽くなったような気がした。

けど、顔が真っ赤になったのは・・・防ぎようがなかった。

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