初恋も二度目なら
・・・よかったのかな。
部長って、「ワンダフル・デイ」みたいな、ハッピーエンドのクラシカルラブコメ映画を観るタイプじゃないと思うんだけど。

隣をチラッと見ると、部長はスクリーンを見ながら、ポップコーンを頬張っていた。
そして私の視線に気づいたのか、部長はスクリーンを見ながらポップコーンの箱を私の方へ差し出した。

「おまえも食べろよ」
「食べてますよ」
「あ、そ」

私たちの前にポップコーンを置くスペースがあるのに、なぜか部長は「俺が持つ」と言い張って・・・別にいいけど。

私はポップコーンを2・3コ手に取ると、スクリーンに視線を戻した。






それから10分くらい経っただろうか。
部長は眠っていた。

やっぱり部長には退屈だったのね。
それに仕事疲れも出てると思うし、帰国してまだ日にちもあまり経ってないから、時差ぼけもまだ残ってるかもしれないし。
でも部長は、あの日以来、朝早く出社をしていない・・・んだけど、私より15分程遅い出社だから、営業部では私に次いで、2番目に早く出社をしている。
だから私は、一番最初に部長の席周辺の掃除を済ませるようになった。

無理してつき合ってもらって悪い・・・いや、部長が「行く」って言ったんだから・・・。

苦笑を浮かべた私は、密かにため息をつくと、部長の手からそっとポップコーンの箱を取って、また映画を観始めた。


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