初恋も二度目なら
「おまえはああいう映画が好きなのか」
「はい」と私が言うと、部長がクスッと笑った。

「どうしたんですか？」
「いや・・・おまえとつき合ってた６年前より、つき合ってない今の方が、カップルみたいだと思わないか？」

私は足を止めると、部長をまじまじと見た。

「おまえはいつも俺の言うことばかり聞いて、おまえがしたいことや好きなことは全然言わなかった」

・・・長峰部長（このひと）の言うとおりだ。

たとえば、たまに夜遅く食べることや、“アレ”をするのも、私はしたくなくても、彼が「しよう」とか「したい」と言えば、彼に合わせてしていた時があった。
いや、その時が多かった。

だって・・・嫌われたくなかったから。
この人に嫌われたら世界が終わると思うくらい、長峰さんのことが好きだったから。

でも・・・だから長峰さんは、私のことが“重く”感じるようになったのか。

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