恋のお相手は小さな男の子
そこから少し進んだ所で「あった!」と足を止める夕香に倣って私も足を止めた。
手書きで『法学部』と書かれているプレートが簡易テーブルに立てられているブース。
その手書きのプレートの文字が自棄に達筆なのが目を惹く。
「すみません」
夕香がブース内に居た女性に声を掛けると、彼女がクルッと振り返って、
「あっ、どうぞ。座ってね」
とテーブルの前に置かれたパイプ椅子を手で差した。
夕香と共に、失礼します…と言ってから椅子に腰を下ろす。
が、私の目は目の前にいる女性に釘付けだ。
栗色のふわふわの髪も、可愛らしい雰囲気も前に見た時と同じ。
休日に偶然三浦先輩と会ったカフェで、私の前の席に座っていた二人の女性の内の一人だ。
はーちゃんなる人を恋愛対象外と言って振った人。
「ちょっと待っててね!今、丁度資料が無くなりそうだったからコピーしに行って貰ってて」
私達にそう言いながら、この場所の入り口へと目を向ける彼女は、コピーに行った人の帰りを待っているのだろう。