クリアスカイ

「あの…大丈夫ですか…？」
不意に声をかけられて、修二はビクンと体をこわばらせた。
見ると若い女性店員が心配そうに覗きこんでいる。
いろいろ考えを巡らせているうちに居眠りをしていたようだ。
修二は慌てて
「すいません、大丈夫です。」
と席をたった。
何時間も一人で居座った挙句、動かなくなったとくれば店の者もさすがに不審に思ったに違いなかった。
これ以上ここで待機するのを断念して、修二はファミレスを出た。




時間はようやく午前を回ったところだった。
疲れがピークに達しようとしていた。
あてもなく歩きながら、時折居酒屋の方に目をやる。幾度となく繰り返していたが、いい加減面倒になってきて再び居酒屋の前にたった。
もうこのまま店の前で待つことにした。
何度か扉が開き、客がワイワイしながらでてきた。
修二は通用口の横にしゃがみこむとひたすら人の出入りだけに神経を集中させた。


どのくらい時間が経っただろうか。
「お疲れ様でーす。」
と声がかすかに聞こえ、瞬間通用口が勢いよく開いた。あまりに突然で修二は思わずとびのいた。
出てきた相手も驚いたのか「うわっ。」と声をもらした。
「すみませんっ、ビックリしちゃって…」
同世代ぐらいの女が慌てて頭を下げる。修二もつられて立ち上がると
「いや、こっちこそ。」
と謝った。