クリアスカイ
「いや、別に俺はいいんだけどさ。」
修二は学生以来に見る須藤の動作を見つめた。
「やっぱ久しぶりだから、うまくねぇや。」
須藤はぼやきながら少しせきこんでいた。


修二はたちあがると部屋の窓をあけた。煙草の煙がすいよせられるように外へと流れでていく。
少し冷たい空気が体をなでていった。
「アツシに会ったらそれだけ言うよ。」
「それでも拒否られたら?」
須藤が聞いた。
修二は振り返ると
「また出直す。」


須藤は笑いながら煙草を灰皿に押し付けた。
「ま、アツシが聞いたら泣きそうだな。修二がそこまで考えてやってんだから。」
修二は「どうだかね。」と首をかしげる。



夜風がカーテンを揺らしていた。
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