ハニー*トラブル~君の彼氏はつらいよ~
◇
◆
初めてだ。
俺にあんな顔して、朝陽くんって呼んでもいい?なんて聞いてきた子。
俺、別にモテるキャラでもないし。
かっこよくもないし。
そんなこと言われなくても、大体の女子には呼び捨てされてるくらい底辺(自分で言ってて悲しい……)の男なのに
「おい朝陽ーどけよー、あたしが通れないぞー。ゴミは端に避けてろ」
……ほらな。
こういう扱いだぞ、俺。
昼休みが終わって、おとなしく教室に戻ったばかりの俺に、不機嫌そうな女の声がかかった。
しかも、ゴミって。
俺ゴミって言われたぞ。
「あー、うん。ごめんなさい」
「つーかあんたまじで美咲ちゃんと付き合ってんのかよ。微妙顔のくせして」
微妙顔ってなんだ、微妙顔って
俺の扱い雑すぎないですか!
俺を“微妙顔”と称するこいつは、小学校からの幼なじみというやつで、同じクラスの辻岡結子
俺は、ツジって呼んでる。
ちなみに、ツジは啓太に片恋中だ。啓太はツジのことなんとも思ってないみたいだけど。
だってあいつロリコ……じゃなくて、えーと、年下好きだしな。
「微妙顔ってなんだ、微妙顔って」
「そのまんまの意味よ、バカなのあんた」
ほらな? こいつひどくない?
日頃の俺の扱いこんなもんだからね!!他の女子からも同じ扱いされてますからね!
だから、城ヶ崎さん、じゃなくて、美咲……ちゃん。
うん、だめだ。呼び慣れない。あきらめて城ヶ崎さんって呼ぼうかな
じゃ、なくて。
城ヶ崎、さんみたいな、あんな態度とられると、逆に戸惑うんだ。
あんな扱い、されたことねぇもん。
されたとしたらあの家庭教師だったリサさんくらい。
いや、リサさんはあんなに純粋じゃない。もっと肉食獣っぽい人だった。
なんか、こう、……ライオンっぽい感じ。いや、ハイエナだな。
「あんま朝陽のこといじめんなよー、結子ー」
ドンッとすさまじい勢いで俺に体当たりしてきたのは、確認するまでもなく啓太だ。絶対にそうだ。俺にはわかる。