ハニー*トラブル~君の彼氏はつらいよ~


苦笑をこぼす俺の横で俺とまったく同じ表情をした啓太が「怖っ」と呟いた。


啓太、おまえとはやっぱり気が合うな。


うんうんと頷いていると、ツジに睨まれた。


「あたし決めた。朝陽と啓太絶対に埋める」

「……おまえなぁ」

「そんなんだから彼氏できねぇんだぞー、結子」


……おい、啓太。


お前が言うな。お前が。



ほら、さすがのツジも……


「~~っ! ふざけんな! あんたなんか大っ嫌い!!」


バシッと啓太の頭を平手うちすると、泣きそうな顔で教室から出ていってしまった。


叩かれた頭をおさえながらなんだよーと不服そうに呟く啓太に、今のはお前が悪いという意味を込めてため息をつく。


ツジもツジだけど、啓太もなんでこんなに鈍感なんだか……。


ツジの態度を見ていればすぐに啓太が好きだってわかるもんなんだけどなぁ。

あいつ、すっげぇあまのじゃくだけど、思いっきり顔に出てるからなぁ。啓太が好きですって。


「てか、あいつもうすぐ授業始まるのにどこ行ったんだ? なに、トイレ?」

「……お前って本当に鈍感クズ野郎だな。」

「えぇ!? はっ!? なんで!?」


笑顔で大真面目にこれを言ってるんだから、こいつはアホだと思う。


ツジが不憫だ。


いや、啓太を好きになったツジも正直どうかと思うけどな!



啓太は、顔はまあまあいいらしく、昔からモテていたけどそれにすら気づかないからか、『鈍感王子』と女子からこっそり呼ばれていたし。


こいつ、バカだからな。しょうがないけど
でも、鈍感すぎると思う。うん。


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