残業しないで帰りなさい!
『まあ、彼はホントに大人みたいだから、大丈夫だと思うけどさ』
「う、うん。あの、それはわかったんだけど、瑞穂……そんなことより私、何を着て行ったらいいのか聞いたんだよね?確か」
私は最初、デートの時の服装をどうすべきか聞きたくて瑞穂に電話したんだけど。
根掘り葉掘り聞かれて、あっという間に話が脱線して変な方向にいってしまった。
『あー、そうだったね。そうだなあ、にわか仕込みで女の子っぽくするより、いつも通りの香奈でいいんじゃない?』
「……いつも通り?」
『うん、本当に普段の香奈でいいと思う。聞いた感じだと、彼、見た目だけの女は見慣れてると思うんだよね。だから子どもだましは通用しないと思う』
「……うん」
なるほど、確かに。
『だから、変に気合い入れるより、いつもの香奈でいいんじゃないのかな?むしろその方がいいと思う』
そっか、そうだよね。無理に背伸びすること、ないのかもね。
「……うん、わかった。そだね、いつも通りで行ってみる。……ありがとね、瑞穂」
『いやいや、私まで楽しみになって来たよ。まあ、気楽に行っといで』
瑞穂に背中を押してもらえて良かった。
デート、なんて可愛らしい格好しなきゃいけないかなあ、なんて思ってしまって。
でも、女の子らしい服装なんて持ってないし、どうしようかと思ってたんだけど。
いつもの私で会いに行こう。