残業しないで帰りなさい!

『まあ、彼はホントに大人みたいだから、大丈夫だと思うけどさ』

「う、うん。あの、それはわかったんだけど、瑞穂……そんなことより私、何を着て行ったらいいのか聞いたんだよね?確か」

私は最初、デートの時の服装をどうすべきか聞きたくて瑞穂に電話したんだけど。
根掘り葉掘り聞かれて、あっという間に話が脱線して変な方向にいってしまった。

『あー、そうだったね。そうだなあ、にわか仕込みで女の子っぽくするより、いつも通りの香奈でいいんじゃない?』

「……いつも通り?」

『うん、本当に普段の香奈でいいと思う。聞いた感じだと、彼、見た目だけの女は見慣れてると思うんだよね。だから子どもだましは通用しないと思う』

「……うん」

なるほど、確かに。

『だから、変に気合い入れるより、いつもの香奈でいいんじゃないのかな?むしろその方がいいと思う』

そっか、そうだよね。無理に背伸びすること、ないのかもね。

「……うん、わかった。そだね、いつも通りで行ってみる。……ありがとね、瑞穂」

『いやいや、私まで楽しみになって来たよ。まあ、気楽に行っといで』

瑞穂に背中を押してもらえて良かった。
デート、なんて可愛らしい格好しなきゃいけないかなあ、なんて思ってしまって。
でも、女の子らしい服装なんて持ってないし、どうしようかと思ってたんだけど。

いつもの私で会いに行こう。
< 232 / 337 >

この作品をシェア

pagetop