残業しないで帰りなさい!
デートの当日。
服装は瑞穂にアドバイスしてもらった通り、いつものカジュアルな格好で行くことにした。
それでも、持ってる服の中で一番お気に入りのコーディネート。そのくらいは気合い入れてもいいよね?
玄関を出たら、綺麗な青い空が広がっていた。一度大きく深呼吸をして、心を落ち着ける。
今日はお昼に横浜駅の近くで待ち合わせをしている。そこからどこかへ連れて行ってくれるらしい。
連絡先を交換してから、私は課長とラインでやり取りするようになった。
私からは勇気がなくて送れないけど、課長からは毎日『おはよー』とか『おやすみ』とか何気ない挨拶がきて、私もそれに返事をする。
課長からメッセージがくると嬉しくて、心がぽわっと暖かくなる。
お付き合いをするってこういうことなのかな?
『今日は楽しみにしてるよ』
『私も楽しみです』
今日の朝もそんなやり取りをしたけれど、本当は楽しみっていうより、とにかく緊張しまくっている。
電車に乗って外を眺めても落ち着かなくて、横浜駅が近付くにつれてどんどん緊張してきて、心臓が飛び出しそうなくらいにバクバクしてきた。
心臓が動き過ぎて気持ちが悪い……。
駅に着いた頃には、すっかり猫背で、息も絶え絶え。
フラフラと改札を出て待ち合わせ場所に向かう。人の波に流されながら歩いて顔を上げると、10分前に着くように来たはずなのに、待ち合わせの時計の下で、もう課長が待っているのが見えて、思わず目を見開いて息を飲んだ。
王子様がいる……。